生理前に体重が増えるのはなぜ?!
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2025 / 12 / 11
最終更新日:2025年12月11日
生理前の体重増加は多くの女性に起こる現象であり、医学的にも一定の根拠が示されています。
しかし「どこまでが正常なのか」「脂肪が増えているのか」「対処は必要か」について正しく理解されていないケースは少なくありません。
本記事では、公的機関や一次資料で確認できる事実のみを基に、生理前に体重が増えるメカニズムと、正常と判断できる範囲について客観的に整理します。
第1章 生理前に体重が増えるのはなぜ起こるのか

ホルモン変化による水分量の増加
生理前に体重が増えやすい最も大きな理由は、体内のホルモン変化です。
排卵後から生理直前までは、黄体期と呼ばれる期間になり、この時期には黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になります。
プロゲステロンが増えると、体は水分を保持しやすい状態になり、むくみが起こります。
この水分保持は生理周期に伴う正常な生理学的変化であり、個人差はありますが体重が数百グラムから数キロ増えることも報告されています。
この増加は脂肪の増加ではなく、一時的な水分バランスの変動によるものです。
生理が始まるとホルモン量が変わり、溜まっていた水分が自然に抜けていきます。
食欲の増加と代謝変動
同じく黄体期には、体温がやや上昇することが知られています(基礎体温の二相性)。
体温の変動に伴い代謝が変わり、食欲に影響が出ることがあります。
また、ホルモンの影響で血糖の変動が起きやすく、甘いものや脂質を含む食べ物が欲しくなるケースもあります。
この期間に摂取カロリーが通常より増えると、その分体重が一時的に増加することがありますが、これもホルモンに伴う反応であり、異常ではありません。
生理開始後のホルモンバランスの変化により、自然に落ち着いてくるケースが一般的です。
消化機能の変動による体重変化
プロゲステロンは胃腸の動きにも影響を与えます。
腸のぜん動運動が低下することで、便通が滞りやすくなり、お腹が張ったり体重が増えたように感じる原因になります。
これらの変化は病気ではなく、生理周期に伴う「正常な範囲の生理的反応」であることが一次資料で確認されています。
第2章:生理前の体重変動の正常範囲

1. 体重変動の医学的な基準
生理前の体重変動は、医学的にはホルモン変動によって起こる「水分貯留」が主な原因とされています。
特に黄体期には、体内でプロゲステロンが増加し、ナトリウムや水分が体内に保持されやすい状態になります(出典:Merck Manual, Office of Women’s Health)。
そのため、1〜2kg程度の増加は生理学的に正常 とされています。
これは脂肪蓄積ではなく、一時的な体液量の変化と説明されています。
また、体重の上昇幅は個人差があり、ホルモン感受性・活動量・塩分摂取量などにより変動します。
したがって、同じ人でも月によって変化量が異なることがあります。
この点も「異常」ではなく、生理周期に伴う通常の現象とされています。
2. 正常かどうか判断するための観察ポイント
正常範囲かどうかを判断する際は、医学的には以下の点が用いられています。
(1)変動期間が周期に一致しているか
生理開始の 3〜7日前に増加し、生理開始後数日で自然に戻る場合、正常範囲とされています。
体重が戻らない場合は、食事量や活動量の変化など別要因が考えられますが、ホルモン変動が原因の増加ではありません。
(2)むくみ・張りなどの随伴症状があるか
むくみ、胸の張り、便秘などが同時に起きている場合、ホルモン変化に伴う体液貯留と一致します。これも正常な反応とされています(出典:American College of Obstetricians and Gynecologists)。
(3)増加が3kg以上の場合
3kgを超える変動は、塩分・糖質の過剰摂取や、睡眠不足・ストレスによるコルチゾール上昇など他の要因が関与している可能性が高いとされています。
医学的に「異常」と断定される数値は明確には定義されていませんが、3kg以上の変動はホルモン変動のみで生じることは少ない とされています(一次資料では“rare”と記載)。
3. 正常範囲内の体重変動と対応の考え方
正常範囲内の体重変化であれば、体脂肪の増加とは一致しないため、特別な対処は必要ありません。
食事量を極端に減らすことは推奨されておらず、適切な水分摂取・軽い運動・十分な睡眠が生理前のむくみ軽減に有効とされています(出典:Office on Women’s Health)。
生理後に自然に体重が戻るのであれば、健康上問題はなく、短期間の体重変化として扱われます。
逆に、生理後1週間程度経っても戻らない場合は、生活習慣の変化を振り返ることが推奨されています。
第3章:生理前の体重増加はいつ戻るのか(正常範囲の目安)

体重が戻るまでの一般的な経過
生理前に増えた体重は、生理開始とともに徐々に減少することが多く、生理開始から3〜7日程度で元の体重に戻るケースが報告されています。
ただし戻り方には個人差があり、専門機関(例:日本産科婦人科学会)が示すデータでも、体重増減の幅や経過には一定の個人差が存在することが確認されています。
体重増加の主な要因は、エストロゲン・プロゲステロンの変動による水分貯留であり、体脂肪の増加ではないとされています。
また、厚生労働省の月経関連資料においても、月経周期に伴う浮腫(むくみ)が起こる可能性があると明記されています。
これらの要因は月経周期に対して生理学的に起こり得る変化であり、異常値ではありません。
正常範囲の目安
生理前の体重増加は、一般的に0.5〜2.0kgの範囲におさまることが多いとされています。
これは水分量の変化による一時的な増加であり、医学的に異常と判断される値ではありません。
ただし、体重増加が5kg以上など大きく変動する場合、もしくは強いむくみ・痛み・生活に支障がある症状を伴う場合は、医療機関での確認が推奨されています(日本産科婦人科学会の月経随伴症状に関する指針)。
正常範囲かどうかを判断する際は体重の絶対値ではなく、「本人の月経周期にとって通常の変化かどうか」が基準となります。
毎月の増加幅が概ね一定であれば、月経による自然な変動の範囲内と考えられます。
戻りが遅いと感じた場合の確認ポイント
生理開始後1週間を過ぎても体重が戻らない場合、原因として考えられるのは以下のような“生活習慣の変化”です。
ただし、これらは事実として確認されている一般的要因であり、個々人の具体的な原因を断定するものではありません。
- 生理前後で摂取エネルギー量が増えている(厚生労働省の栄養調査でも、月経周期により食欲が変動する可能性が示されている)
- 眠りの質の低下
- 体活動量の低下
これらが当てはまる場合、体重の戻りが一時的に遅れることがあります。
ただし、医学的に異常と判断されるものではありません。
正常かどうかを判断する方法
「増えた体重が生理開始から7日以内に元に戻るか」を指標にすることが推奨されます。
この期間での変動は、水分量の調整が整うタイミングと一致するため、最も客観的な判断材料になります。
戻るまでの期間が毎月大きく異なる場合や、生活に支障のあるむくみ・痛みが続く場合は、医療機関での相談が望ましいとされています(日本産科婦人科学会)。
第4章 生理前に体重が増加して見える理由

水分量が一時的に増える仕組み
生理前に体重が増えて見える主な要因として、体内の水分量の変動があります。
水分量は体組成に影響するため、実際の脂肪量が増えていなくても体重が数百グラム〜1kg以上変化することは珍しくありません。
水分量の変化は、月経周期と関連するホルモンの働きによって左右されます。
特に黄体期と呼ばれる生理前の期間には、体内の水分保持が起こりやすくなります。
この状態は医学的にも一般的に見られるものであり、異常とは判断されません。
ただし、どの程度の水分変化が起こるかは個人差があります。
消化の動きがゆるやかになることによる体重変化
生理前には消化管の動きがゆるやかになることがあります。
消化が遅くなることで、食べたものが通常よりも長く体内に留まり、体重が重く見えることがあります。
これは食物残渣の重さによるものであり、脂肪の増加を示すものではありません。
消化の変化は、月経周期に伴うホルモンの影響が関係しているとされていますが、数値の増加そのものが健康上の問題を意味するわけではありません。
この状態は生理開始とともに改善することが多く、体重は自然と元の範囲に戻ることが一般的です。
基礎体温の上昇による代謝変動
黄体期には基礎体温が上昇し、代謝の状態が平常時と異なることがあります。
基礎体温の変化自体は自然な生理的反応ですが、この期間に体重が安定しにくくなることが報告されています。
代謝が変化すると、体内のエネルギー利用のバランスが一時的に変わるため、むくみや便通の変化と合わせて体重が増えて見えることがあります。
これらの変化は周期に伴うもので、月経が開始すると元の状態に戻ることが確認されています。
正常な範囲の判断基準
生理前の体重変動として数百グラムから1kg前後の変化は一般的に見られる範囲です(※個人差あり)。
重要なのは、体重変化が「脂肪の増加ではない」という点です。
生理開始後に体重が自然に元へ戻る場合、この変動は生理周期に伴う正常な範囲と考えられます。
また、短期間で脂肪が1kg増えるためには約7200kcalの過剰摂取が必要であり、通常の生活の中で数日間でその量に達することは現実的ではありません。
したがって、生理前の体重増加は多くの場合、体脂肪の変化ではなく水分や消化内容物によるものと判断されます。
異常の判断は医療機関の基準に基づきますが、生理前に体重が増えても月経後に戻るのであれば、一般的には生理的な変動の範囲内です。
Q&A よくある質問
生理前の体重増加は何日くらい続くのが一般的ですか?
生理前の体重変化は、排卵後に分泌が増えるプロゲステロンというホルモンの影響が主要因とされています。
このホルモンは水分を体内に保持しやすくする作用があり、厚生労働省および国立健康・栄養研究所の資料でも、月経周期に伴う水分貯留が起こり得ることが示されています。
体重増加が起こりやすい期間は、排卵後から月経開始前日までの約10〜14日間とされており、生理が始まるとホルモンの分泌量が急速に下がるため、徐々に元の体重に戻ることが一般的です。
生理前の体重増加はどれくらいまでを正常と判断できますか?
体重の増加幅には個人差がありますが、医学的にはホルモン変動により水分量が変化する範囲は500gから2kg程度とされる報告が多くみられます。
これは脂肪の増加ではなく、水分保持による一時的な変化です。正常範囲の判断基準としては、増加が「生理開始とともに戻っていくかどうか」が重要で、生理開始後数日以内に元の体重へ戻る場合は一般的な生理的変動とされています。
戻らない場合は、食事量増加・睡眠不足・塩分摂取量の増加など他要因の可能性があります。
生理前に体重を増やさないために、科学的に有効とされる方法はありますか?
生理前の水分貯留はホルモン変動により完全には防げませんが、国立健康・栄養研究所の指摘では、体液バランスは塩分量や食事内容に影響を受けることが示されています。
塩分摂取を通常より控えめにすること、カリウムを含む食品(野菜、果物など)を適切に摂ること、水分不足にならないよう適度な水分補給を保つことは、体液バランスの乱れを抑える方法として有効です。
また、軽い運動は血流を保つ働きがあり、むくみ軽減に寄与するとされています。
まとめ
生理前の体重変動の理解と対応
生理前に体重が増える現象は、医学的に確認されている自然な変化です。
黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響により水分保持が起こりやすく、むくみとして体重に反映されます。
厚生労働省などの公的機関による体液量の調整機構の説明からも、体液バランスはホルモンによって変動することが示されています。
これらの変化は脂肪増加を意味するものではなく、一時的な体水分量の増加によるものです。
正常範囲の捉え方
生理前の体重増加は一般的に一キログラム前後が多いとされますが、個人差が大きく、公的な統一基準は存在しません。
水分保持や食欲変動の程度も人によって異なるため、「短期間で一時的に増えても、生理開始とともに戻る」という点が正常かどうかを判断する重要な指標となります。
変動が日常生活に支障を与えるほど大きい場合のみ、医療機関への相談が推奨されます。
日常でできる対応
体重の一時的な増加は不可避ですが、過度な食事制限は推奨されていません。
ホルモン変動によって代謝や血糖コントロールにも影響が生じるため、極端な調整は却って負担を大きくする可能性があります。
適切な水分摂取、塩分の摂り過ぎを避けること、軽い運動で血流を保つことなど、体液バランスに影響する基本的な行動が有効です。
正しい知識が不安を軽減する
生理前の体重増加は身体の正常な機能の一部であり、脂肪増加とは異なる現象であることを理解することで、不必要な不安や自己否定を避けることができます。
体重は短期ではなく中長期で評価することが合理的であり、日々の数値に左右される必要はありません。
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このブログの著者

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著者:吉田 優大
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